印鑑・はんことは

印鑑とはんこのこと

“印鑑”と”ハンコ”、これはそれぞれ違うモノであることを知っていましたか?
印鑑とは、朱肉で押して紙や書類に残る絵や名前のことで、ハンコとは印鑑を押すために手に持つ道具側のことです。

(A)印影/印鑑
押した跡を「印影」と呼びます。役所に登録された印影を「印鑑」と呼ぶのが正しいですが、印鑑と印影は同じ意味で使われることが多くなっています。

(B)ハンコ/印章
印鑑を押す道具を「ハンコ」や「印章」といいます。ハンコの正式名称が印章です。

【余談…】もともと印章と印影を照らし合わせるための登録簿のことを「印鑑」と呼んでいましたが、いつの間にか印鑑という言葉は印影を指す言葉へと変わっていきました。


印鑑とはんこは混同されがちですが、違ったものなのです。しかし、現代においては同じ意味合いで使われており、またそれで相互理解できますので、厳密に意識して言葉を使い分けなくても弊害はありません。

ハンコ各部の名称

(1)持ち手
ハンコの持ち手部分です。ハンコの素材によって手触りや重さが異なります。

(2)印面
名前など印鑑のデザインが彫刻されています。

(3)天
ハンコの頭頂部を天といいます。

(4)アタリ
印鑑の上下が分かるようにするための目印です。

(5)彫刻文字
文字や図形などデザイン部分を彫刻文字といいます。

(6)枠
印面の外周円を枠、または縁(ふち)といいます。印鑑登録には枠が必須となります。

印章の歴史

印章(=ハンコ)の歴史は古く、起源が分かっている範囲で紀元前5000年頃の古代メソポタミア文明まで遡ります。この頃の印章は、現在のような丸や四角の面で押す印章ではなく、筒状の側面に絵や模様を刻印し、粘土などに転がして刻印の型を残すように使われていました。
古代メソポタミアを起源とした印章はその後、印章は東西に分かれ、東に広がった印章は古代中国で発展し、西に広がった印章はヨーロッパで発展しました。
東西の文化に浸透するように広がった印章は、多種多様に形をかえて発展しました。ですが、今も昔も印章はある意味で同じ使われ方をしています。それは、印鑑を押すという行為には何らかの意思表示を表されています。
例えば古代の権力者の印鑑は、絶対的な力を行使する証しとして使われますし、現代の認印では、この書類を見ました、認めましたといった意思を表します。印鑑の意味と使い方は、今も昔も変わらず受け継がれています。

日本の押印文化

印章が日本の歴史に出てきたのは、古代中国の皇帝が昔の日本(奴国)に贈った“漢委奴国王印”が日本最古の印章とされています。その後の日本で様々な政治や文化と融合しながら、権力者から一般庶民まで使われる印章→ハンコとして広く普及しました。
明治なり、署名のほかに実印を押印する制度を明治政府が定め、印鑑登録制度が確立されます。漢字圏である日本では識字率が低く、自分の名前を書くことができない人もいました。その為、署名は代筆を認めるが、意志表示、責任の所在を明確にするために、自分で実印を押すという当時の慣習が今日の印鑑制度に繋がっています。現代になり、欧米やアジア諸国では印章からサイン文化へと変わりましたが、日本では荷物の受け取りでの認印や不動産取引での実印、先生が課題や宿題を評価してくれる評価印など、今でも押印の文化が根付いています。

印鑑を持つ意味

日本では、不動産の売買や、ローンの申し込み、自動車の購入などで契約者の意思の確認、責任の所在を明らかにするための印鑑登録制度があり、契約には印鑑登録がなされたハンコを押します。

また、法人として行う商業登記では、印鑑届書に届出印を押印して提出する必要があります。

契約書や書類に押印するということは、押した人がその書面の内容に責任を持つという意思表示、約束をしたということになります。内容をよく確認せず不用意に行う押印はトラブルを大きくしますので、押印する契約書、書類は、しっかりと内容を確認してください。